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コンセンサス抗癌剤の副作用と対策 Home
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巻頭言.抗癌剤の副作用;予期して臨むことの大切さ
1.消化器症状
 (1)内科の立場から;消化器症状に対する支持療法
 (2)外科の立場から
2.骨髄抑制
 (1)好中球減少症
 (2)血小板減少と貧血
皮膚症状,脱毛,粘膜障害
神経症状
浮腫
間質性肺炎
心毒性
肝障害と腎障害
巻頭言
抗癌剤の副作用;予期して臨むことの大切さ
浜松オンコロジーセンター 
渡辺 亨/Toru Watanabe
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抗癌剤治療の目標を見極める
 癌治療薬のうち,抗癌剤,化学療法剤,細胞毒性化学療法剤と称される薬剤群は,当面,治療の主役を担うものである。そもそも第二次大戦中の毒ガス(イペリットガス)流出事故をきっかけにその治療効果が偶然に発見された経緯からわかるように,これらの薬剤の最大の特徴は,癌細胞のみならず,正常細胞に対しても障害性に作用することである。癌細胞に対する作用は,腫瘍縮小を介して症状緩和,QOL向上,延命,治癒といった効果として現れる。一方,正常細胞に対する作用は,副作用,毒性として現れる。この副作用に対してどのように取り組むべきであるか,ということが本特集の主題である。

 個々の患者に抗癌剤治療を行うさい,考えなくてはならないことは「治療の目標は何か」ということである。

 抗癌剤治療を行う目標は,疾患によって異なる。これはそれぞれの疾患の「薬剤感受性」に基づき,臨床試験および一般臨床から得られた経験により,表1のように分類できる。これらは,新しい薬剤が開発されるたびに格上げされることもあり,まさに「state of the art( 現時点で得られる最善の治療効果)」である。

 また,固形癌に対して抗癌剤治療を使用する状況としては,術前,術後,転移・再発後という異なった3通りの局面に区分され治療目標も異なっている。すなわち,術前,術後の「初期治療」として使用する場合の目標には治癒達成があげられる。しかし,転移・再発後の治療の場合,治癒達成が可能な癌腫もあるが,多くの場合,症状緩和,QOL向上,延命が治療目標となる。このように「どのような疾患に,どのような局面で,どんな抗癌剤治療を,何を目標に行うか」ということを明確にしたうえで,治療スケジュールを計画することになる。患者の要求が何カ月の延命なのかに合わせて治療計画を立てる場合もある。

表1
抗癌剤などの薬物療法により期待できる最善効果と対象疾患


副作用ばかりに気をとられてはいけない
   抗癌剤の副作用は避けられないとはいえ,副作用の発現を恐れるあまり,治療目標を見失い,治療効果も出ない低用量を使用するということは好ましくない。もちろん,治療の目標は,患者との相談のうえに決めることであるし,治療を開始した段階で,副作用が出現した場合には,その状況に合わせて治療スケジュールの変更が必要なことはよくある。しかし,最初から,中途半端な投与量を医師の勝手な判断で選択するという風潮は是正すべきであろう。抗癌剤治療を実践する医師は,副作用の対処方法を正しく習得し標準治療を実践できるだけの臨床力を養わなくてはならない。

投与量の変更は許容されるか
 転移・再発後の治療として抗癌剤治療を行う場合には,症状緩和,QOLの改善などの治療効果が数日〜週間以内に現れることもあり,治療目標が達成されたか否かは,個々の患者レベルで判断することができるので,副作用を評価しつつ効果の得られる最小投与量を選択することも不可能ではない。しかし,それは結果論であって,結果的に効果がなかったとき「それは臨床試験で効果が検証されている投与量を勝手に減量してしまった結果ではないのか」という批判に対して反論できるだろうか。抗癌剤の投与量は,日本人を対象とした臨床第T相〜第II相試験により安全性と有効性が確認された量が推奨されているという現実を安易に無視してはいけない。

 もっと難しいのは,術後抗癌剤治療の場合である。原発病巣を手術で切除した後,画像診断では検出し得ない微小転移を撲滅するために行う術後抗癌剤治療は,臨床試験で検証された再発抑制効果,生存期間延長効果のみを効果の根拠として行うものであり,個々の患者レベルでは,現在行っている治療が効いているのか,効いていないのかということはまったく判断できない。しかし,患者は規定サイクル数の治療が終了するまでは,副作用に耐えなくてはならない。この状況では,抗癌剤治療の意義を正しく理解した医師が患者に適切に説明し,投与量,投与スケジュールを完遂することによって,臨床試験で検証された再発抑制効果が得られるのである。

副作用を予期して臨む
 抗癌剤治療を行う場合には,出現する可能性のある副作用を予期して臨むことが大切である。脱毛を例にとれば,これを効果的に予防,軽減する手立てはない。しかし,患者によっては最大の関心事である。どれぐらいの割合の患者で,どの程度の脱毛が,いつ頃から始まり,抗癌剤終了後,いつ頃になったら回復するものなのか,ということを予期して患者に情報提供することが大切である。悪心嘔吐については制吐剤を予防的に使用すること,好中球減少性発熱については,抗生物質をあらかじめ処方しておくことなど,である。

 抗癌剤の副作用をいたずらに恐れることなく,正しく対応することで効果的な抗癌剤治療を遂行できるということを忘れてはならない。

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